微細加工技術で微細挙動を制御する
ナノスケールの微細加工基板
半導体加工にも用いられている微細加工技術を用いることで,平面材料の上に細かい凹凸を精密につけることが可能である。こうした微細構造を有する材料表面上での細胞の接着や伸展の様子を知ることは,医療材料の開発において欠かせない。
ここでは,マイクロメートルサイズのレンズ状構造や,ナノメートルサイズの深さの微細な溝構造を,超臨界二酸化炭素で可塑化させたポリカーボネート表面に転写した。
材料表面加工による細胞挙動の制御
この上で細胞を培養したところ,接着斑と呼ばれる細胞接着に特徴的な構造体が,微細構造のサイズに応じて形成されることが見出された。また細胞の伸展の向きをコントロールすることも可能であった。これは,薬剤や生体分子に頼らずに,材料表面の微細構造の加工技術を使って,細胞の挙動を制御できることを示している。
参考文献
S. Fujita, D. Ono, M. Ohshima, H. Iwata, Supercritical CO2-assisted embossing for studying cell behaviour on microtextured surfaces, Biomaterials, 29, 4494-4500 (2008) https://doi.org/10.1016/j.biomaterials.2008.08.027