細胞が凹凸を認識するしくみ

タイムラプス顕微鏡を使って細胞の動きを解析


微細加工基板上で細胞が凹凸を認識することはわかってきたが,どのように認識しているのかは謎であった。そこで深さ約200 nmの微細な溝を有する基板上で細胞がどのように移動するかをタイムラプス顕微鏡を使って観察した。


フィロポディア(糸状突起)を使って周辺をサーチ


興味深いことに,細胞が伸展する際,フィロポディア(糸状突起)と呼ばれる構造体をあたりぐるりをサーチするように伸ばし,その中で接着しやすそうな場所を探すことがわかった。


凹凸のある溝表面の場合,尾根部分に沿ってフィロポディアが接着しやすい。結果として細胞突起はそちらのほうに伸展していき,細胞も溝に沿って長く引き伸ばされることがわかった。この結果は,一方向に配向した細胞接着表面を作ってやれば,細胞の伸長方向をコントロールできるということにつながり,のちのナノファイバーを使った研究の基盤となった。


またこの研究は,微細凹凸を有する表面上での細胞挙動を理解する重要な研究として,多くの研究者にも引用されている。







参考文献

S. Fujita, M. Ohshima, H. Iwata, Time-lapse observation of cell alignment on nanogrooved patterns, J. R. Soc. Interface, 6, S269–S277 (2009) https://doi.org/10.1098/rsif.2008.0428.focus  

高引用論文