積層型ナノファイバーシートでの細胞培養

高密度での細胞培養


同一培養液量で細胞培養をより効率的におこなうためには高密度で細胞培養をおこなうことが不可欠である。工業的にはビーズ状のハイドロゲル(マイクロキャリア)や,多孔質担体の利用などさまざまな方法が開発・実践されてきた。


ナノファイバーシートは特定の方向に細胞を配向させることができ,基材の固さ(張力)なども制御することができるなど,培養基材としてすぐれた特徴をもつ。


蜂の巣箱のような構造


こうした特徴のナノファイバーを高密度培養に活かすべく,ナノファイバーのシートを蜂の巣箱のように積層したタイプの培養基材を開発した。この基材上で,間葉系幹細胞という細胞を培養し,シートとシートの間で造血幹細胞という浮遊細胞を培養する。造血幹細胞は,間葉系幹細胞が分泌する生理活性物質の効果でうまく増殖する。


こうしたナノファイバー培養基材は細胞凍結基材としてそのまま使用することもでき,すぐれた培養基材としての可能性を秘めている。






参考文献

O.Batnyam, H.Shimizu, K.Saito, T.Ishida, S.Suye, S.Fujita, Biohybrid hematopoietic niche for expansion of hematopoietic stem/progenitor cells by using geometrically controlled fibrous layers, RSC Adv., 5, 80357-80364 (2015) http://dx.doi.org/10.1039/C5RA13332G