胆管ステントの有効性評価

 

ハイドロゲルが胆管を押し広げる


以前の研究で,閉塞した胆管を押し広げる医療デバイス(胆管ステント)として,ゲルの膨潤を利用する新しいタイプのステント(ハイドロゲルステント)を提案した。これは従来のステントとは異なり,取り出し・交換も可能である。この研究ではその特性を詳細に解析した。



ゲルがチューブの方向に配向


ハイドロゲルステントはポリビニルアルコール(PVA)のゲルを引っ張って(延伸)乾燥させるという工程で作製する。このときの分子レベルの配向性を調べたところ,チューブ状のステントの軸方向に配向していることがわかった。


こうした配向性があると,体液に浸したときもうまくステントを拡張する方向に膨潤してくれる。


ブタでおこなったin vivo実験でも,内視鏡を使ってうまくステントを胆管に留置でき,さらに胆管もよく拡張することがわかった。ハイドロゲルステントは抜きやすいため,再閉塞が起きた場合にも臨機応変に対応できるというメリットがある。

体液に浸ることで拡張するというユニークな特性をもつ,ハイドロゲルステント。さらに動物実験も重ねて実用化を目指す。




参考文献

Y. Nagakawa, S. Fujita, S. Yunoki, T. Tsuchiya, S. Suye, K. Kinoshita, M. Sasaki, T. Itoi, Characterization and preliminary evaluation of a self-expandable hydrogel stent with anisotropic swelling behavior and endoscopic deliverability for use in biliary drainage. J. Mater. Chem. B, 2022, 10, 4375-4385  https://doi.org/10.1039/D2TB00104G

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